手軽に電子工作の実験をする上で、PCを測定器として使うのは有効だと思うのですが、気になるのが被測定器とPCの絶縁です。
自作中の被測定器はどんな不具合をもっているか分からないので、その不具合がPCを壊してしまう恐れがあります。
そこでUSBのアイソレータを使うことを思いつきました💡。
USBアイソレータの仕様例 |
USBのアイソレータなら測定器のアナログ性能には影響がありませんし、被測定器に測定器を壊してしまうような不具合があってもその被害はPCには及びません。
今回はその紹介になります。
■480Mbps対応のUSBアイソレータを使って実験用測定器からPCを絶縁する(DSD TECH SH-G01L使用)
●使用するハード(USBアイソレータ)
今回使ったUSBアイソレータはコレです。
DSD TECH SH-G01L USBアイソレーター USB2.0対応 480Mbps 高速アイソレーション - Amazon |
DSD TECHという深圳(中国)にあるメーカの製品ですね。USB2.0のハイスピード(480Mbps)に対応していて絶縁耐圧は1500Vあります。
Amazonで5,049円でした。転送速度12Mbps(フルスピード)までのモノならもっと安いものがありますが、480Mbpsに対応しているモノでは格安ですよね😋。
・製品仕様(メーカー製品ページより)
(特筆すべき項目も無さそうなので😅、原文(英語)のまま載せています。)
Specification:
- Model: SH-G01L
- Main chip: ADI ADUM3165
- Interface: USB 2.0
- Power input: 5V
- Supports Low (1.5Mbps), Full (12Mbps),High-Speed(480Mbps)
- Voltage isolation: 1500V
- Audio Compatibility: PCM 32bit/768kHz、DSD512 Native and more
Packing list:
- 1×SH-G01L USB Isolator
- 1×User manual
付属品:取説、USBプラグキャップ |
本品で使用しているチップ(ADUM3165)の情報はこちらです。
・使い方
設定・操作等は何もありません。PCと測定器の間のUSB接続に挿入するだけです。
●使用感
このアイソレータの基本性能(絶縁・転送速度・給電性能)を確認して、実際に測定器を繋いで使用してみました。
・入出力間の絶縁の確認
まずは念の為にテスターを使って本アイソレータの入出力間の同一端子同士の絶縁の確認しました。
【確認結果】
結果は、信号線(D+, D-)と電源線(V+,
V-)の全ての端子が入出力間で問題なく絶縁されています。
・転送速度
転送速度480Mbps(ハイスピード)を謳っている今回のUSBアイソレータですが、試しに手持ちのUSBメモリを接続して速度を確認してみました。
速度チェックに使用したのはCheck FlashというPCアプリです。転送速度チェックに用いたアプリ(Check Flash)の画面 |
(本アプリは、本来はHDDやUSBメモリ等のストレージの寿命チェック用アプリのようです。初めて使うので分からないところだらけでしたが😅、ドライブとしてUSBメモリを選択して『スタート』を押すとメモリの読み書きをして転送速度を表示してくれました。)
【実測結果】
結果は236.56Mbps(29.57MB/s)で、USB規格の12Mbps(フルスピード)を超えています。
なので本アイソレータは480Mbps(ハイスピード)に対応できているようです。
転送速度の確認結果(Check Flash画面の一部) |
・給電性能
- アイソレータ単体の給電性能の確認
今回使用したUSBアイソレータは電源(5V)もアイソレート(絶縁・分離)しているので給電性能は気になるところです。
という訳で電子負荷を繋いで測ってみました。
USBアイソレータ(SH-G01L)の給電性能の測定 |
【実測結果】
結果はこんな感じです。結構電圧が変動しますね。
USBの給電電圧の規格は4.75〜5.25Vなので消費電流が400mA以上のバスパワーの機器は動かない可能性があります。
(電流が低い時に5.25Vを超えているのは御愛嬌でしょうか😅。この程度の電圧なら接続される機器の動作には何も問題ないと思います(個人の意見です)。)
消費電流がUSB2.0の規格(500mA)ギリギリの機器はヤバいかもしれませんね😑。
- USBハブ(セルフパワー)による給電性能の改善
そこでセルフパワーのUSBハブを使うことを思いつきました。
これならば、PCとの絶縁を保ったままでアイソレータの給電能力不足を補うことができます。
実際にセルフパワーのUSBハブ(USB2.0)を使った場合の給電性能・転送速度を確認してみました。
【給電性能の実測確認】
USBアイソレータ単体の時と同様に電子負荷を使って確認してみました。
USBアイソレータ(SH-G01L)+USBハブ(セルフパワー)の給電性能の測定 |
結果は(当たり前ですが😅)フラットですね。安心です。
自分で言うのもなんですが、この測定ってUSBハブ(セルフパワー)の給電性能を測っているだけですよね😅。
【転送速度の実測確認】
転送速度もUSBメモリを使って確認してみました。
結果は235.12Mbps(29.39MB/s)で、USBハブが無い時と遜色ありません。こちらも安心ですね。
USBアイソレータ+USBハブ(セルフパワー)の転送速度(Check Flash画面の一部) |
・実動作確認(USBオーディオインターフェース使用)
このUSBアイソレータ+USBハブ(セルフパワー)を使ったシステムを、実際にUSBオーディオインターフェース(192kHz/24bit)とオーディオアナライザアプリの組み合わせで使ってみました。
結果は何の問題もなく使用できています。シグナルジェネレータの出力をリアルタイムでFFTさせてみるとこんな感じです。
オーディオアナライザアプリ(WaveSpectra)のFFT画面 |
●機能拡張:複数の測定器のPCからの絶縁
今回のUSBアイソレータ+USBハブ(セルフパワー)のシステムのさらなるメリットは、PCと絶縁して繋げる測定器を増やすことができます。
●改善要望点
●まとめ
USBアイソレータを用いることにより、実験(電子工作)用の測定器としてPCを安心・安全に使うことが出来るようになりました♪転送速度480Mbps対応なのでリアルタイム性も問題ないと思います。
大満足です😋。
【おまけ】同じメーカーに同一スペックの製品があります
今回のアイソレータと同じメーカ(DSD
TECH)の別のUSBアイソレータ(SH-G01B)を以前購入して使ったことがあります。
そのSH-G01Bと今回のSH-G01Lの性能を比べてみると全く同じですね。
SH-G01BとSH-G01Lの性能は全く同じ(Amazon商品ページより) |
なんで同じ性能の2つのモデル(SH-G01BとSH-G01L)が存在するのでしょうかね🤔?