専用機を買うほど使用頻度が高くない実験用のオーディオジェネレータ(信号発生器)ですが、PCを使って構築してみました。その第2弾(改良版)です。
以前、アナログのオーディオアイソレータを使ったシステムを紹介しましたが、低域の周波数特性がイマイチだったので、今回はその改良版です。
今回はこの内容の紹介になります。
■PCを実験用のオーディオジェネレータ(信号発生器)として使ってみる
●使用するアプリ・ハード
・アプリ(WaveGene オーディオジェネレータ)
使用するPCアプリ(信号発生器アプリ)はコレです。
多機能 高精度 テスト信号発生ソフト WaveGene |
正弦波・矩形波・三角波などの色々なテスト用音声信号を計算により発生させ、サウンドデバイスや、ファイルへ出力するツールです。
本アプリはハイレゾ(24bit/384kHz)にも対応している優れものです。
Amazonで550円でした。
・ハード1(USB DAC)
PCからのUSBオーディオ(デジタル)信号をアナログ信号に変換するDAC(DAコンバーター)です。
USB オーディオ変換アダプター JAVISEE 外付け サウンドカード USB 3.5mm ミニ ジャック ヘッドホン・マイク端子 PS4/MacBook/Mac Mini/iMac/Windows PCなど対応 ドライバー不要 - Amazon |
Amazonで550円でした。
今回は音質等を気にしない用途なので、ひたすら安い本機を選択してみました。
マイク入力(ADコンバーター)も装備しています(この機能もいずれ測定器として使えそうな気がしています😋)。
- 製品仕様(Amazon商品ページより):
- ヘッドホンジャック:3.5mm(ステレオ(TRS)っぽい)
- マイクジャック:3.5mm(詳細は不明)
仕様に記載がありませんがサンプリング周波数は48kHzには対応しています(詳細は後述します)。
・ハード2(USBアイソレータ)
PCと被測定器を直流的に分離(絶縁)するアイソレータです。
ある意味PCをオーディオジェネレータ(信号発生器)として使う上ではアプリ以上に重要なのはこのハードだと思います。
Dovhmoh USB-USBアイソレーター、シェル付き、産業用グレード、デジタルアイソレーター、12Mbps速度ADUM4160 / ADUM316 示されているように - Amazon |
本品は信号・電源共に入出力を絶縁します。直流(DC)的な結合を遮断するので、PCと被測程器間のGND結合によるPCの不用意な故障を防ぎます。
アイソレータの中味は所謂トランスではありませんが、意味が分かり易いようにトランス記号を使いました😋 |
Amazonで1640円でした。
- 製品仕様(Amazon商品ページより):
- 通信速度:12Mbps
- 電源供給容量:不明
- ADUM3160絶縁電圧:2500V
- パワーモジュール絶縁電圧:1500V
- 電源:コンピューターホストのUSBポートから取得
- 動作環境:-40°C〜85°C
- 材質:ABS
- サイズ:6.6 x 2.5 x 1.5cm
通信線も電源線も絶縁されているようです。通信速度が12Mbpsなので、動画などの大容量の伝送には使えなさそうですが、今回の用途(オーディオデータ伝送)なら問題ありませんね😋。
●使い方
・アプリ(WaveGene)
特に難しいことはないと思います。周波数・出力レベル・出力先等を設定して、画面左上の『▶』ボタンを押下すると設定したPCのオーディオ出力端子(アナログ・デジタルなど)から信号が出力されます。
・ハード1(USB DAC)
我が家のPCでは、今回使用したUSB DACは『スピーカー USB Audio Device』として認識されています。USB DACのWindows上での認識 |
使いたいときにはこのデバイスを選択すればOKです。
・ハード2(USBアイソレータ)
本品はPCとUSB
DACの間に挿入するだけです。使い方として書くことは特にありません😅。PCに接続し電源(5V)が供給されると赤LEDが点灯します。
PCと被測程器の絶縁はこれで完璧😋 |
念のために入出力のUSB端子の同一端子間をテスターで確認しましたが、無事に絶縁されているようです(=ショートはしていませんでした)。
●使用感
・本システムの使えそうなスペック
実際に使ってみて現実的に使えそうなスペックは以下のような感じです。
- 周波数範囲:20Hz~20kHz(±1dB)
- 【参考1】:25kHz以上ではDACから信号が出力されませんでした。(ハイレゾ非対応のDACなので当たり前ですが😅。)
- 【参考2】:USBアイソレータの有無でジェネレータとしての性能に差異はありません。
- 最大出力電圧(@1kHz, ノンクリップ出力):0.725Vrms程度
・本システムの周波数特性
今回使用したUSBアイソレータはデジタル領域で入出力信号を絶縁するので、アナログ音声(オーディオ)領域の周波数特性には影響を与えません。
なので周波数特性は良好です。
USB DAC + USBアイソレータの周波数特性 |
アナログのオーディオアイソレータでは出力が難しかった100Hz以下も良い感じですね♪
【参考】アナログのオーディオアイソレータを使用した場合の周波数特性
(本件は以前に紹介している話ですが、)100Hz以下の低域がダメダメなのです。
(この特性はアイソレータに使っているトランスの性能に依存するので、全てのアナログオーディオアイソレータがこのような性能になる訳ではありません。)
【参考】アナログオーディオアイソレータを使った時の周波数特性 |
・USBアイソレータの給電性能
今回使用したUSBアイソレータは電源(5V)もアイソレート(絶縁・分離)しているので給電性能は気になるところです。
という訳で電子負荷を繋いで測ってみました。
結果はこんな感じです。
結構電圧がドロップしてしまいます。
USBの給電電圧の規格は4.75〜5.25Vなので消費電流が130mA以上のバスパワーの機器は動かない可能性がありますね。
●まとめ
20Hz~20kHzまでカバーし、振幅は0.725Vrms程度まで稼げるので、オーディオジェネレータとしてそこそこ使えると思います。
○【おまけ】USB DACの音質
音楽を楽しく聴くという観点でいうとダメダメですね😅(あくまで個人の感想です)。
ボーカルは奥に引っ込んじゃってるし、低域も高域もありません。
あくまでリモート会議等で音声を伝達する用途で使うべきものだと思います。